音楽を演奏したり聴いたりするときに、
拍は、英語でbeat(ビート)とも言いますが、
一定の間隔(ペース)で刻まれるもの
です。
例えば、
心臓の鼓動や脈拍、拍手、手拍子、車のワイパーや方向指示器(ウインカー)、道路の信号の点滅、同じスピードで歩くときの足音、などです。他にもあるかもしれないので、考えてみましょう!
ここで例に挙げたものは、急に速いスピードで刻んだり、間(ま)をとったりはしないですよね。
ずーっと一定の、同じ間隔(ペース)で刻まれます。
よくバンド演奏なので使われるドラム(ドラムス、ドラムセット)の演奏でよく使われる用語で、
8beat(エイトビート)という言葉がありますが、あれは簡単に言えば「ずっと8分音符を刻んでる音楽ですよー」という意味になります。
ここでもう一つ、「拍」という文字を使った重要な音楽用語「拍子」についても説明しておきます。大変重要な用語です。
先ほど説明した「拍」というのは、たしかに一定のペースで刻まれていますが、どこか区切りがはっきりしないですよね。
タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン タン・・・
区切りなく、延々と続く感じ・・・。
ところが、上にいくつか挙げた例のうち、歩行とワイパーは、実は一定の区切りを感じることができます。
そう、右!左!です。
例えば、歩行時に、利き足が右足の場合、右で踏み込んだときが「始まり」という感覚はないですか?
一定のペースで刻まれるもののなかに、何か別の意味を持ったものが誕生しました!
これによって、ただ単に延々と刻まれていた拍の中に区切りが生まれるわけです。
次の音声データを聞いてみてください。
4回に1回はチーンって鳴ります。
まさに、メトロノームの音です。
4つで一つのグループが出来上がりました。別の言い方をすれば、4つの音で1つの周期になったわけです。
この周期・グループ・区切り、パターンのことを「拍子」と言います。
今回の場合は、世界で最も親しまれているであろう「4拍子」ってやつですね!
一つ一つの刻むペースは同じ速さなのに、何か区切りを感じるわけです。
区切りを感じる根拠は、曲によっても様々です。音楽を聴く人の感覚によるところも大きいです。
先ほどご紹介した「拍」ですが、これも言ってみればリズムの一種です。
ただし、「一定の間隔で刻まれる」という条件が付いたものが「拍」です。
つまり、リズムとは、長さが違ってもいいのです!音と音の間に間(ま)を突然挿入してもいいのです!
長い音や短い音、長い休みや短い休み、これらが組み合わさっているものを「リズム」と呼びます。
(もちろん拍もリズムの一種とも言えますが、この講座では明確に区別するために拍をリズムとは呼ばないことにしておきます。)
次の音声データを聞いてみましょう。
長さの違う音や、間があったのがわかりますか?
では、今の音声を楽譜にしてみます。(あえて拍子は書きません)
となります。楽譜を読めるようにするには、音符の種類や休符の種類に関する知識が要りますね。(四分音符とか八分休符とか・・・)それらの知識については、また別の講座でご紹介しますが、
ここでは、
何やら短めの音があったりお休みがあったなぁ
と感じてもらえればOKです。
そして、鋭い人は、音声データと楽譜の内容がなんとなく一致してくるのではないでしょうか。
今回の講座の中で最も簡単で理解しやすい用語だと思います。
テンポとは、音楽の速さ(スピード)です。別の言い方をするなら、「拍」を刻む速さ(スピード)です。
用語の説明は以上です。
これ以上わかりやすい説明は難しいです。
実際にはテンポは楽譜にも指示・表記があります。
ほかの講座でも少し触れましたが、
例えば、次のような表記を見たことがあると思います。
これは、1分間に四分音符を何回演奏するかを示しており、
そのまま1分間、四分音符を演奏し続けると、四分音符の演奏回数は60回に達します。
ちなみに、このスピードは、まさに時計の秒針と同じスピードということになります。
秒針は1分間に60回刻むわけですからね!
この数が多いほど、四分音符を刻むスピードが速くなる、
つまり、音楽のスピードが速くなるわけです。
この「1分間に拍を何回刻むか」ということを、BPMと言います。
Beats Per Minuteの省略後ですね。
Beat(ビート)は、「打つ」「連打する」「叩く」という意味。
Per(パー)は、「~ごとに」という意味。
Minute(ミニット)は、時間の「分」を意味します。
60BPMだったら、1分ごとに60回連打する、という意味ですね。
医療の場面で、心拍数などを示すときにも使うそうですよ!
では、次回の講座では、拍・リズム・テンポなどの要素が具体的にどのように関わっているのか、
例をあげて解説してみたいと思います。